数十分後、家に着いた。
「…妹尾の家の前まで来たら、ますます緊張してきた」
「大丈夫ですよ。私の親は、結婚に反対してないですし」
「でも、それは…」
先生の言葉が続かない。
この話題になるとこの間も、今日もー…
「せんせ…」
「高橋先生!お待ちしてました」
「「!!」」
急に玄関の扉が開き、びっくりして身体が跳ねた。
「お……お母さん!」
「ご無沙汰しております。本日は夜分遅くに時間を作っていただき、ありがとうございます」
先生は丁寧に挨拶をし、頭を下げた。
「いえいえ。二人ともお疲れでしょ?早く中に入ってくつろいでください」
「はい。ありがとうございます」
先生は笑顔でお母さんと喋りながら、家の中に入っていく。
さっきまでの先生とは大違い。
「泰葉、何してるのー?」
「あ、今行くよ」
慌てて後を追い、玄関の扉を閉めた。