「妹尾先生」
「ん?」
席に着く前に声を掛けてきたのは、高橋先生と私の間に割って入った男子生徒。
「高橋に怒られたら、いつでも言ってよ」
「…え?」
怒られる?
さっきの、私が怒られたと思ったのかな?
真剣な顔をしてそう言った生徒に、思わず笑みが出てしまう。
「…ふふ。さっきは、ありがとね。けど、高橋先生は怒ったわけじゃないから大丈夫」
「え?」
男子生徒は首を傾げた。
怒ったんじゃなくて、助けてくれたの。
「さ、授業始めましょう。席に着いて」
まだ首を傾げたままの男子生徒の背中を押し、席に着くように促す。
「出席からとりますね。相川さんー……」
残りの時間、生徒たちは静かに授業を聞いてくれた。
初授業で、高橋先生にさっそく助けてもらったのは反省しないといけないけど…
改めて、高橋先生の凄さがわかった。
もっと、頑張らないと。