「良かったね、妹尾さん。おめでとう」

立川は笑顔で、妹尾に言った。

「ありがとう、立川くん。香奈も…ありがとう」

ハンカチで涙を拭っている安川の頭を撫でている、妹尾。


「高橋先生」

「ん?」

「結婚するからって浮かれていると、足をすくわれますよ?」

「…立川、お前な…」

本当に、俺をバカにしてるー…


「妹尾さん、高橋先生が嫌になったらいつでも俺のとこにきてね」

「え?…あ、うん」

妹尾は、苦笑いをして答えた。


「立川、お前諦めたんじゃねぇのか?」

妹尾に聞こえないように、コソコソと聞く。


「諦めてませんよ?まだ、チャンスはありますからね」

「チャンス?そんなのー…」

「若さでは、高橋先生に勝ってますからね」

若さー…

「…それは、一生敵わねぇな」

思わず、自分でも笑ってしまった。


立川も、小さく笑った。