慌てて高橋先生の元に向かおうとしたが、一人の男子生徒がそれを妨げた。
「お前、何してんだ?」
首を傾げた高橋先生が、男子生徒に問いかける。
「妹尾先生は悪くないよ!俺たちがふざけすぎただけだから」
そう大きな声で、男子生徒が高橋先生に向かって言った。
「…え?」
庇ってくれてるのかな?
なんか、嬉しいなー…
って、生徒に庇ってもらうって教師としてどうなのかー…
「そうだ!そうだ!もう真面目に授業受けるから、高橋は帰れよ!」
「高橋だって授業抜けてきてるじゃねぇか!教師が授業ほっぽり出していいと思ってんのか!?」
ん…あれ?
「妹尾ちゃんイジメたら、許さないからな!!」
「高橋怖いんだから、妹尾先生泣かすなよ!」
庇ってもらってはずが、なんかおかしな方向にー…
「妹尾先生!」
「!」
生徒を見渡していた顔を、教室の扉に向けた。
「頼みましたよ。静かに授業してくださいね」
そう高橋先生が言った。
「は…はい!すいませんでした」
慌てて頭を下げる。
「妹尾ちゃん、どんまい。授業始めよー?」
「あ、はい」
ばっと頭を上げると、高橋先生と目があった。
"頑張れよ"
微笑みながら、そう言っているように見えた。
小さく頷くと、再び教室を見渡した。
さっきとは違い、静かに席に着いている生徒たち。
良かった…やっと授業始められる。