緊張しながら、教室の扉を開ける。


「じゅ…授業始めますよー」

そう言いながら教室を見渡すと、生徒たちは席に着いて待っていた。

…良かったー…


「じゃあ、出席とりま…」

「なぁ!妹尾先生!!」

「!?」


一人の男子生徒が、教卓の目の前まで来た。

び…びっくりした。

「な…何かな?授業始めるから席に着いてね」

「妹尾先生って彼氏いんの?」

「え?」

席に着くように促すが、生徒は言うことを聞かない。


「なぁ、彼氏いんの?教えろよ」

「俺も知りたい!妹尾ちゃん!!」

妹尾ちゃん!?

「もう男子って若い女の先生くるとそればっかー」

「妹尾先生なんか私たちに比べれば、おばさんじゃん!!」

お…おばさん!?

「ばっか。妹尾ちゃんはおばさんじゃねぇよ!可愛いじゃん」

「あんたなんか相手にされるわけないじゃん!」

「あ!?」


さっきまで席に着いていた生徒が話し始め、席から離れる。


「じゅ…授業始めるから、席に着いてー」

このままじゃ授業始めれない。

指導してくれる先生がいた時は、こんなことなかったのに。

「授業始めるよー」

そう大きな声で言っても、聞いてくれない。


どうしよう…



どうしよう…