先生…
「俺がお前の体になる」
バカだね先生は
その気持ちだけで十分だよ
おかしくって大笑いしてるよ私。
「もう直ぐで、お義父さんもお義母さんも来てくれるからな」
やっと腕から解放された私は
少しだけ口角を上げた。
泣きそうだよ先生?
あ、上むいた
涙隠そうとしてる…
「はぁぁ。」
パチパチさせてため息。
ガラッ…
「ま…な」
お母さんの震えてる小さな声。
「…まなぁ…」
冷たい手が私の頬をそっと触る
私の目を見て、泣き続けるお母さん。
ごめんね
動かなくなっちゃった
目頭からこぼれ落ちた一粒の涙
それを優しく拭ってくれたお父さん
この光景を見てまた泣きそうになってる先生。
私、幸せ者だ
何十人と涙して心配してくれるよりか
この身近で大好きな人たちが
心から泣いてくれる。
ゴメンね。って悪くもないのに謝ってくれる
優しく涙を拭ってくれる
喋れなくても想いが伝わってる。
強くなるね。人って
前の私だったらきっとお母さんに当たってるもん。
こんな身体いらない!
ってきっと傷つけてる。
でもね、今はこの身体がすっごく好き。
当たり前が当たり前じゃないって気づかせてくれた。
当たり前が幸せって気づかせてくれた。
当たり前が難しいんだって気づかせてくれた。
当たり前が羨ましい事なんだって気づかせてくれた。