「見られたなら仕方ないですね。
全てお話します」
ようやく白状する気になったわね。
「相手の方に見覚えはありませんか?」
……見覚え?
「あるわけ無いじゃない。 初めて今日見たのよ?」
ついに白状するかと思えば……
何を言ってるのかしら、八乙女ったら。
おかしな人ね。
「髪型が変わって別人に見えますけど。
あれ、莉愛ですよ」
驚きが隠せないあまり、下に向けていた顔を上げる。
……え、今なんて?
“莉愛さん”
そう言ったよね?ウソでしょ?
……まさか。
二人はヨリを戻していて、わたしに秘密でこっそり逢っていた。
八乙女が言いたいのはつまり、そういうこと?
相手が知らない人ならまだしも、八乙女が今も忘れられない人なんて。
そんなの……わたし不利じゃない。