少しの間が空いてから、ゆっくりと八乙女の口が開く。 「……見てたんですか?」 よっぽど知られたくないことなのか、露骨に嫌な顔をする。 「う、違うわよ!? 勝手に八乙女が視界に入ってきたのよ!」 風景を眺めていたら、偶然目に入っちゃったっていうか──。 なにしろ! わたしの視界に図々しく入ってくる八乙女が、一番いけないのよ。 そう。……わたしは悪くない。