隣では、八乙女が傘をたたんでいた。 どのくらいこうしていたんだろう。 水たまりに月が映し出されている。 もう雨は止んだみたい。 降り続けている間ずっと立ちっぱなしだった八乙女。 空いている左手で、ギュッとわたしの手を包みこんでくれていた。 まるで、気持ちに寄り添うような温もり。 八乙女の手はホッカイロみたい。