マリウスが大きく眼を見開いた。

「……そうか」

ゆっくりと眼を閉じたマリウスは、唇に微笑みを浮かべたまま暫く動かなかったけど、やがて眼を開けると翠狼をまっすぐ見つめた。

「それも……愛なのかも知れないな。今の私には解る事の出来ない……」

「きゃああっ!」

その時、急に頭が激しくズキッとして、私は思わず悲鳴をあげた。

こんな激痛は生まれて初めてで、あまりの痛さに息が止まる思いだった。

「どうした?!」

翠狼が血相を変えて私を見たけど……私にも分からない。

戸惑っているうちに、再び何かに貫かれたような痛みが頭に響いた。

「あああっ!!」

気が遠くなりそうになった時、信じられない映像が頭の中に浮かんだ。

「藍!」

翠狼が私を呼んだけど、それどころじゃない。