「それは俺にしても好都合だ。何故なら今から死よりも辛い思いをさせてやれるんだからな。恨むなら俺を怒らせた自分自身を恨め」

低く響く翠狼の声を聞き終えた後、マリウスが微笑んで瞳を伏せた。

「……死よりも辛い思い?そんなものはもう何度も何度も味わっている。この七百年の間に」

今度は翠狼が不敵な笑みを見せた。

「なら、どこまで耐えられるかみせてもらおう!」

「待って翠狼!」

「藍ちゃん」

気が付くと私は叫んでいた。

誰もが私に注目する中、腕に回された桜花さんの手を解くと私はよろけながらもマリウスに近付いた。

「藍、下がっていろ!」

「お願い、翠狼。待って」

翠狼の鋭い声が響いたけど、私は足を止めることが出来なかった。