それをマリウスが身体を捻って回避すると、足を翠狼の首に絡ませて力を込める。

途端に翠狼が口を開け、そこからマリウスの手が自由になり、彼はニヤリと笑った。

加えてほんの一瞬の隙をついたマリウスは、力任せに翠狼の脇腹を蹴りあげ、体勢を立て直して距離をとると咬まれた手を凝視した。

「……汚らわしい……!」

そんなマリウスに蹴られた翠狼は、床を転がり円卓をなぎ倒しながら私達とは反対側の壁に身を打ち付けて止まる。

息もつけない程の激しい戦いに私の心臓が痛い程脈打つ。

けれど二人はあまりにも激しく早く組み合い、私には見守る以外何も出来なかった。

なす術もない私達の前で翠狼はブルッと身体を振るわすや否や後ろ足で床を蹴り、再びマリウスへと襲いかかる。

そんな翠狼の身体にシャンデリアが当たり、クリスタルがバラバラと部屋に降り注いだ。