「けどやはり私は……人狼のファシネイティングブラッド……魅惑の血が欲しい!!」

言うなり目にも止まらぬ早さで、マリウスが床を蹴って翠狼に飛びかかった。

「全員下がってろっ!マリウスは俺が倒す!」

そんなマリウスに応戦するため、たちまち翠狼が狼に姿を変えて迎え受ける。

私が眼を見張る中、翠狼の鋭い牙がマリウスの腕に食い込み、彼はそのままマリウスを投げ飛ばして壁に叩きつけた。

「クッ!」

ガシャン!と壁にかけられた大きな絵画が外れて床に落ち、ガラスが割れる。

マリウスは一瞬眉間にシワを寄せたものの、素早く跳躍すると翠狼を飛び越えて背後から彼の首を締め上げた。

「翠狼……!」

グハッと咳き込んだ翠狼が、苦しげに大きく口を開けた。