物凄い力と早さでマリウスは私を引き寄せたかと思うと、私の傷付いた胸に顔を埋めて噛み付いたのだ。

一気に身体の力が抜けて目眩がした。

ああ、もうダメだ。

その時だった。

「っ?!」

今までに聞いたこともないような破壊音が響き渡り、何が何だか分からないうちに私は誰かに抱き上げられた。

身体が引きちぎられそうな遠心力と、宙を舞うような感覚。


「あああっ!!」

何が起こったのかを確認するために、本能的に閉じてしまっていた眼を必死で開ける。

すると部屋に何人かの人狼達が身構えているのが視界に入った。

嘘……!

信じられなかった。

ああ、こんな事って……こんな事が、あるの?

「な、んで……!?」

本当に信じられなかった。