壮絶な孤独は、七百年間続いたのだ。

可哀想に。可哀想に……。

「さあ、証明してくれるかい、君の愛とやらを」

マリウスがテーブルに手を伸ばすと銀の短剣を取り上げ、私にその柄を向けた。

「……はい」

受け取った短剣は想像よりも重かった。

ゆっくりと左手で鞘を引くと、私はそこに写った自分の顔を見つめた。

……夢みたいだ。これまでの出来事も、今この瞬間も。

でも、夢じゃない。

私が……ヴァンパイアになっちゃったら、瀬里は泣くかな。

翠狼は?

ううん、彼には内緒にしたい。

それから、もう二度と会わない。

だって人狼とヴァンパイアなんて敵同士だもの。

……さよなら、翠狼。

最後に好きになったのが、あなたで良かった。

私は大きく息を吸うと両手で短剣を構え、胸にその切っ先を押し当てた。

一気にやった方がいい。多分。