「七百年も生きているとね、少なからず周りに人が寄ってくる。ましてや私は『偉大なるヴァンパイア』と呼ばれている……言わば、突然変異のヴァンパイアだから」

マリウスは更に続ける。

「私は魅惑の血を持つ人狼のお陰で、唯一ヴァンパイアの両親から生まれたヴァンパイアなんだ。普通のヴァンパイアは子供を作れないからね。それに少し他のヴァンパイアとは違うところもある。たとえば……心臓に銀のナイフを突き立てられたって死なないとか。これは実証済み。ああ、木の杭も……死ななかったよ」

最初私に話していた彼は、いつの間にか私を通りこして別の誰かに心を打ち明けているようで、次第に表情がなくなっていった。

「……何をされても死なないんだよ。これがどういうことか分かるかい?……つまり」

「……孤独」

私が呟いた言葉に、マリウスは少し眼を見張った。

それから、

「……孤独って、痛いよね。周りの者が、私ではなく私の『力』が目的だったと分かった時も、酷く痛かった」