だって分かってるもの。

本当は自分の部屋の方がはかどるのに、私が退屈しないようにリビングとワンフロアになっているダイニングキッチンで仕事をする翠狼の優しさが。

でも、独りの部屋は怖くて眠れない。

だからある夜、私はこう言った。

「今から……見たいテレビがあるの。それにコーヒーが飲みたい。翠狼の分も淹れるから、」

「いい加減にしろ」

「……」

書類に視線を落としたまま短くこう言った翠狼に、私の肩がビクッと震えた。

守ってもらっているのも、迷惑をかけているのもちゃんて分かってる。

でも寂しいし怖い。

だけどそれをハッキリと口に出来ない。

だって私にそんな権利無いもの。

私は両手を握り締めて唇を噛んだ。