「俺の事は翠狼と呼べばいい。雪野だと翔と被るし一臣は嫌だろうし」

…翠狼……。

たちまち私の脳裏に、深く鮮やかな真緑の瞳と、それを際立たせる漆黒の被毛を持つ狼の姿がよぎった。


『あんただって化け物じゃん!!』


波のように押し寄せる後悔。

あんな酷いこと言うんじゃなかった。

言うんじゃなかった!!

傷付けてしまった後悔が深すぎて、胸が苦しい。

そんな私に、彼は静かに言った。

「……俺が人狼なのはこの先も変えることが出来ない。確かにお前からしたら化け物だろうが、」

「違うっ!」

気付くと私は叫んでいた。

カアッと全身が熱くなって、痛いほど両手を握りしめて私は声を荒げた。