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週末。

「いい加減にしろ」

腕を組み、仁王立ちでこちらを見下ろす雪野一臣に、私はポツリと呟くように言った。

「……だって、もうこれ以上迷惑かけたくないの」

固く両手を握りしめる私に彼は、

「……別に迷惑だとは思っていない。むしろ家に戻られた方が迷惑だ。眼が届かない」

「だけど……私は受験生だし」

「瀬里からは成績優秀だと聞いているが。志望校には十分受かる成績だと。それにもしも勉強で困っているなら、俺が教えてやる」

雪野一臣は、私を見据えると唇を引き結んだ。

……どうしよう。雪野一臣の家に住むって事は……当然同居になるわけだし……。

「あのさ、前に言ってたよね?私は未成年だし、男の家に泊まるのは良くないって」