「……好きだった人に……殺されそうになるなんて、私、」

いくつもいくつも涙が落ちて、それがシーツに吸い込まれる。

「……藍ちゃんあのね、もう起こっちゃった事は変えようがない。だからなかった事には出来ないけど……でも私も翠狼も……えっと、人狼族のみんなも、藍ちゃんが無事で喜んでるよ。だから思いきり悲しんだら、その後は元気になろうね。私、ずっと付いてるからね」

私は瀬里の顔を見ることが出来ず、俯いたまま言った。

「私、凄く嫌なヤツでしょ?瀬里が暗示をかけられてたのに、律に嫌われたくないからって見て見ぬフリをしたんだよ。それに、あんな酷いこと言ったし、雪野さんや、仲間のみんなにも」

そうだ、私は最低だ。なのに瀬里はこんな私のために本気で泣いてくれている。

「瀬里、ごめん、本当にごめん」

「いいんだよ、藍ちゃん、ゆっくりでいいから元気になろうね」

泣きながら笑った瀬里の顔は凄く優しくて、私は泣きながら頷いた。