「私と違ってね、華やかで明るい雰囲気の律を凄く素敵だと思ったの。私の心の闇に手を差しのべて寄り添ってくれてるって信じてた。だから律がヴァンパイアでもいいって思えた。だって好きだったから。だけど、だけど」

「うん、うん」

「律の言葉は……嘘だったの。私を……私の血を飲む為の嘘で。私は……私はそれに気付いてなくて、」

言葉が嗚咽で途切れた。

息が出来なくて、しゃくり上げる私に瀬里が手を伸ばした。

「藍ちゃん、藍ちゃん」

「凄く好きだったの」

「うん、うん」

「凄く好きになったのに、律は……律は私を殺そうとして」

「藍ちゃん、辛かったね。悲しかったね」

ベッドに腰かけて、私の手を握りしめた瀬里の眼から大粒の涙がポロポロとこぼれ落ちた。

「藍ちゃん、今は思いきり悲しんでいいよ。私が傍にいるから」