「部活のことにしろ、今日のおばさんのことにしろ。別にひとりで全部抱え込まんでも、吐き出せばよくね?」
「.........」
「たまには誰かを頼らないと、時間だけが無駄に進んであとで絶対後悔すんぞ」
......コウ、ちゃん。
「少なくとも俺は、ここに助けられてるけどな」
コウちゃんが、小さく口角を上げながら私を見てきた。
夜空になりつつある薄暗い中でも、はっきり見てとれるコウちゃんの優しい微笑み。
その暖かい優しさに、徐々に鼻の奥がツンと痛み出した。
今まで我慢していたものが、波の音に乗せられ体の奥から込み上げてくる。
「時間なら、いっぱいあるぞ」
コウちゃんはもう前を向いていた。
私の涙を見ないように。