ドンっ!

「痛っっぁぁ‼」

女子の悲鳴が昼過ぎのガヤガヤとした廊下に響いた。

絶対にそこまで痛くない。

しかも「痛い!」と普通に言えばいい。

そんなに大きな声で力を込めて言わなくても痛みは同じだ。

私には、被害者意識が高いようにしか聞こえない。

あぁ、案の定。

一人の悲鳴に野次馬といつも一緒にいるお決まりの女子たちが集まって来た。

そして、彼女たちは私を加害者だという目で見てくる。

そのうち、口も開きだすんだから。

本当、面倒くさい。

「ひどい、ボーっと突っ立てないで謝るくらいしたら?」

ぶつかった子の周りにいる子がキッと睨む。

何で、私?見ていた人いるよね?

さっき全速力で走って行った男子を。

アイツがあんたにぶつかったんだよ。

「あ、ごめんなさい。」

内心そんなことを思いながらも、一応謝る。

「何笑ってんの?キモーい。」

何で部外者に言わせるのかが分からない。

ぶつかった子はキーキー言ってる部外者の中心にいる子。