私は腕を強引につかまれた。

「ちょっと、来い。」

そういいながら、

私は炎道に人通りの少ない路地裏まで連れていかれた。

あ、もしかして図星だったかな!

それだったら凄くない?私!

いっきにテンションが上がって調子に乗る自分を必死に抑えた。

ある程度人がいないところまで来ると、炎道の足が止まった。

「あんたは、俺の何を・・・。知っていること全部吐け。」

「別に、日によって、炎道の態度の差が大きいから気になって考えてたら、

私の勘だけど別人じゃないか?って思っただけだよ。」

「じゃあ、勘?」

「そーだよ、ま、違うなら帰るけど。」

私は炎道に背を向けようとした。

「ちょっと待て。ちょうどいいや、寄ってけ。」

私は炎道に連れられて、

路地裏をさらに進んで地下のバーに入って行った。

ん?『ルビー』?って書いてある。

「待って、お店しまってるけど・・。」

「話しするだけだから、早く来い。」

私は言われるがままに階段を下りてついていった。

 そこには六十代くらいの老人がカウンターでグラスを磨いていた。

ドアを開ける時になったベルの余韻と、

店内に流れるジャズの音楽の音色が耳にスルスルと入ってきた。




「おかえりなさいませ。乙浪様、ついに連れてこられましたか。」