朝5時半前にスマホのアラームが作動した。
何事?と思って目を覚まし、そっか、今日から早朝勤務をするんだ…と気づく。


「ふぁ…」


よく眠った筈なのに眠い。
隣で寝ている厚哉は、私が起き上がってもやっぱり起きない。


(当たり前だよね。昨夜も遅くまでパソコンと睨めっこだったもん)


私が勝手に早朝勤務をすると決めたのが気に入らなかったのか、新作ソフトのプログラムをテストすると言ってやり始めた。
こっちは今日からの早朝勤務の為に早く寝るとベッドへ潜り込んでも、厚哉は「おやすみ」と言うだけで無視。


(おかげで触れ合いも何もない夜だったよ…)


昨夜に限ってのことじゃない。
この最近、厚哉に触れてもらったのは何時だったろうか。


布団から逃げずに厚哉の背中を見ていた。
このまま仕事へ行かず、この背中に擦り寄って眠りたい。


(鬼がなんと言って怒ってもいいからそうしたい。誰かに責められてもいいから厚哉と一緒に居たい…)


それが許されないと言われてもいいから…と、胸の奥が痛みながらも抜け出していく。



「ん…」


急に背中が寒くなったのか、厚哉が小さな声を出した。
私はそれに振り向き、目が開くかどうかを見極める。



(……起きないのね)


やっぱり…というか当然だ。
普通に仕事でもなければ誰もこんな早朝に起きたりしない。

ゴソゴソと電気ストーブを点け、昨夜のうちに用意した服に着替える。