「…えっ?明日から早朝出勤をですか?」


厚哉がお風呂に入っている間に白瀬さんから電話があった。
何だろうか…と思って出てみれば、いきなり明日から早朝出勤をして欲しいと頼む。


「早朝パートの小杉君がバイクで事故ったらしくて2週間ほど出勤して来れなくなった。緊急のバイトを雇うにしても時間帯が早過ぎて応募もないと思うし、ど素人雇っても即戦力にならないと困るから出てくれよ」


私なら早朝パートの経験もあるから流れはわかるだろうと言われた。


「そりゃできますよ。でも…」

「頼む!たった2週間だけでいいから!」


声が必死だというのは受け取れる。
早朝の勤務は店長の白瀬さんと小杉さんが2人でやっていて、ローテ休の時にだけ菅さんが入るようになっている。
だから1人が長期で休むようになると困る。仕事が回らなくなって、お店が7時に開けれない。


(でも、私はやっと早朝パートからシフトを変えてもらえたのに…)


1年間は早朝勤務も頑張った。
ただ半年くらい前に厚哉が仕事を変わり、生活が不規則になってきたから時間帯を変えて欲しいと頼み込んで実現してもらえた。


「桃にしか頼れないんだよ。菅さんには家庭もあるし、毎日の早朝勤務は頼めねぇから」


小学生と幼稚園児がいる家庭の菅さん。
ご主人が協力的らしく、だからこそ週二回だけなら…と早朝勤務を手伝っている。



(仕様がないか…)