「……えーと……私たちと?一緒に?……源朝長のお墓参りに行くんですか?」

しつこいようだが、あけりはそう確認した。


部長は何度もうなずいた。

「前から行きたかったんだけど、遠いし、山の中だし……、遊びで足を踏み入れられるところじゃないって父に言われて……機会がなかったの。だから、是非!私も一緒に行きたい!いつ行くの?」


あけりが返事する前に、聡が笑顔でうなずいた。

「僕もそう思います。でも、敬虔な気持ちでお参りするのには何の問題もありませんよね。ぜひご一緒に参りましょう。……ところで、僕らはその後、大垣競輪場で競輪を観戦する予定なんですが……そちらはパスされますか?」


「競輪……。えーと、未成年だけど……いいのかな?……OKなら行ってみたいんだけど……。」

部長は恐る恐るそう尋ねた。

あけりは、思わず聡を見た。

聡は、あけりと部長に、笑顔でうなずいて見せた。

「問題ありません。僕の両親も競輪場には参りますので、保護者もいますので安心してください。……まあ、車券の購入は18才以上ってことになってますけど。」


徳丸部長の顔がパッと輝いた。


「嘉暎子さんの彼氏のはっちさんもいらっしゃいますしね。」

あけりがそうつけ加えると、部長は少し思案顔になった。

「……そっか。うーん、私も彼、誘いたいけど……この時期は厳しいかな。いつ行くの?」

「来週の日曜日です。」

「うーん。無理かも。……確認したいけど、今日は無理なの。一番大事な日だから。」

部長は額に手を当てて苦笑いした。


「……部長の彼氏さん、神社の神職さんなの。」

あけりの説明に、聡は首を傾げた。


「葵祭関連?……御蔭祭(みかげまつり)かな?」

部長は聡をしげしげと見た。

「詳しいのね。でも、惜しい!そっちじゃないほうやねん。御阿礼神事(みあれじんじ)って言って、夜に関係者だけの神事があるの。」


「……へえ。御阿礼(みあれ)って、ゴルフ場の中にある御阿礼野(みあれの)ですよね?……僕、2月に見たことありますよ。神主さん達がゴルフ場の林で小松を摘んでる神事。」

聡くんはニコニコそう言った。