「ありがとうございました。またお越しください」


ショップバッグを片手に持ったお客様をお見送りして綺麗にお辞儀をする。


「また雨宮さんのスカート売れましたね!可愛いもんなぁ。Rein〈レイン〉」


職場の後輩の都子ちゃんがいそいそとスカートを抱きかかえながらわたしに近付いてきた。


「そりゃあ沙和のデザインセンスがいいからでしょ。今回の新作も当たりだからね。あたしも鼻が高いよ」


「もう店長まで…褒めたって何にも出ませんよ?」


ここは街の小さな洋服屋さん。


子どもの頃から夢だったデザイナーも兼業しながら洋服を作り販売の仕事に就いている。


20歳のときに店長に拾ってもらって早5年。


細々と自作の洋服を作ってはお店の一角に置かせてもらっている。