「なんで、直之がここに?」


「たまたま…なんか沙和に似てる人がいるなぁって思って」


もう時期ここにセンリがやって来る。


直之と一緒に居るところを見られたくない。


「あっそ。わたし、行くから」


とりあえず駅の反対側に行ってセンリに連絡して待ち合わせ場所を変えよう。


そう思って動こうとしたわたしの腕を直之が掴んできた。


「待って。俺、やっぱり沙和が好きだ。彼女とは別れた。もう一度俺とやり直してほしい」


「何、言ってるの?」


「俺は本気だ」


「ごめん、直之。わたし、好きな人がいるの」


そう告げるとわたしの腕を掴んでいた直之の力が少し緩んで目が揺れていた。