いつもより入念にメイクして、新しく買ったベージュのニットワンピにお気に入りのピアスを付けて。


いざ、センリとの待ち合わせ場所に向かう。


時間より少し早めに着いたけど、その方が心の準備ができるしね。


鏡で何度も変なとこがないかチェックして、落ち着こうとするけれどソワソワしてしまう。


センリを待っている最中、何組かのカップルが目に入った。


みんな幸せそうに笑っていて、わたしもセンリとあんな関係になれたらなと心を踊らせる。


もうすぐ、約束の時間。


腕時計と睨めっこをしていると肩をポンと叩かれて、


だけどセンリじゃないってすぐにわかった。


アイツが吸っていたキツイ煙草の匂い。


「沙和?久しぶり…」


「…直之」


わたしが待ち焦がれていた人物ではなく、わたしを振った最低な元婚約者だった。