夢の中でわたしはセンリと一緒に手を繋いで笑いあっていた。


それは自分の都合の良い夢だとはわかっていたけれど、とてつもなく幸せだった。


「んっ…」


「あっ、サワ。起きた?」


聞こえるはずのない声が聞こえて、ゆっくりと目を覚ますと目の前にはセンリの顔。


「セ…リ…?」


喉が渇いていてうまく発音ができない。


「うん、俺。びっくりした。サワの家に来たら玄関の鍵かかってなくて、サワが苦しそうに横たわってたから」


あっ…そっか。さっき薬買いに出かけたときに鍵を閉め忘れたんだ。


「風邪?」


「うん。センリ。移るといけないから…」


センリに風邪を移したくないのもそうだけど、本音は昨日の今日でセンリの顔を見るのは辛いから。


「大丈夫。俺、そんな柔じゃないから」


そう言ってセンリはわたしの頭にポンとその大きな手を置いた。


そこから伝わる熱に鼻の奥がツンとする。