仕事が終わりアパートの前に近付くと見知った人影にドキッとする。


なんで、どうして?


「センリ?」


「おかえり、サワ」


「なんで、いるの?」


「……いちゃいけないの?」


珍しく少し不機嫌なセンリに違和感を覚えた。センリはいつもニコニコと優しい空気を纏っているから、少しでも棘々しいと余計にわかりやすい。


「センリ、なにかあったの?」


やっとの思いで出てきた言葉はそんな間抜けな言葉で。