ジェミロの遠ざかって行く足音を聞きながら、ベルはため息を吐いた。
明日からはこの軽やかな足音は、聞くことが出来ない。

そうだった、今日から姉とは別の道を行かなくてはならないのだ。
いつまでも一緒にこの町で、仲良く暮らして行けるものだと思っていた。

レイとメロゥが現れて、それは叶わないことだとわかりつつも、わがままを言って先延ばしにしていた。

2人がわざわざ場所を探してくれたのは、自分のためだろう。
ここを離れたくないけど離れないといけない自分のために、町の近くに良い場所を探してくれた。

そんな2人の気持ちにも、送り出す気持ちにも答えないと……。
シュシュだって、店のアルバイトとして妹を紹介すると言っていた。

皆の気持ちを無下には出来ない。
だけど、急すぎてついていけない。

ベルはぼうっとしながらもどうにか朝の支度を終え、着替えて、持っている中で一番大きなバックをクローゼットから取り出した。