「稔さん以外の男の人と2股をかけているそうじゃないですか。

京極竹司さんってご存知ですよね?

彼の調査であなたが稔さんと自称ミュージシャンの男と2股をかけていることを知りました」

そう言った私に、石原さんは目を大きく見開いた。

「しかも、稔さんはキープ――それも逃げ道としてつきあっていたそうじゃないですか」

「な、何よ。

それがどうしたって言うのよ。

何か問題があるって言うの?

と言うか、何であなたにそんなことを言われなきゃいけないのよ」

石原さんは悔しそうに私に言い返した。

「別に2股なんて珍しくないじゃないのよ。

ラーメンつけ麺とか言ってた芸人なんて6股もしていたのよ?

それに比べたら、2股なんてまだかわいい方じゃない」

ダンッ!

「何がかわいいんですか!?

数が違うとは言え、結果的に相手を傷つけていることには変わりはないんですよ!?」

テーブルをたたいて怒鳴るように言った私に、石原さんは唇を閉じた。