「じゃあ…」


「沙也加は、もう死んでるわ。」


「死後と、現実の狭間って面白いもんだわ。」


お姉さんは、沙也加の緩くまいてある髪を


振り払い、嗤った。


人を馬鹿にする笑い方だった。


「びやちゃんだっけ?私、命の恩人よ?」


お姉さんの息が酷くかかる。


気持ち悪いほどゾクゾクさせる、魅せる喋り方だった。


「ほんとにいいんですか?沙也加のおねーさんは

 
 そんな人だったんですか?」


あははっ、と悲しげな笑い方をする。


「私は、妹の命まで殺して生きたかったのよ?


 酷い人に決まってるじゃない。」


「まだ…いるっ…」


沙也加のお姉さんが叫んだ。


「違う!今のはっ…」


「沙也加の声ですよね」