「落ち着いて。」


沙也加のお姉さんは、髪を軽く振り払うと、


地面に足を付けた。


「私は、別にいいの…当然のことをしたまでだから。


 沙也加に嫌われるのも当たり前」


信じられないというほど大きな瞳を


見開いて、お姉さんを見ていた。


「ねね…わたし…っ…」


「ほらだからこれ。」


途端にお姉さんは不敵な笑みを滲ませる。


「私と沙也加…入れ替わる?」


ポーションらしきものが瓶の中で波打つ。


「そしたら私が沙也加の代わりに生きてあげる


 そのほうがさやちゃんも楽でしょ?」


最後の語尾のあたりを甘い声を含ませ


誘惑する。


「沙也加…だめっ!!そいつは…お姉さんじゃない」


びやちゃんが苦しげに顔を歪め、息を吐く。


「だめ…信じちゃだめっ…」


「知ってるわよ。そんなの…」


沙也加は、挑戦的な笑みで笑いかける。


「この体は既にねねだもの。


 残念ね…あははっ…あははっ!…」