「また今度な!じゃ!」
ごめんごめん、と手を合わせながら教室を後にした涼を見送り、私と涼香も教室を出た。
それから学校からほど近いカラオケボックスへ。
カラオケ自体は久しぶりではないから、のどの調子はきっと大丈夫。
「さて、歌うぞー!」
「涼香から歌っちゃってー」
「任せなさい」
涼香が曲を探している間、私は正人さんにメールを送る。
『お疲れさまです。今日は友達と一緒にカラオケに来てます。正人さんは何時におうちにつきそうですか?夜に電話したいです!』
送信、と。
それと同時に、大音量で曲が流れ始めた。
かなりの爆音。
「うーたーうーぞー‼」
「おー‼」
まだまだ若い私たちは、二人で5時間歌いきり、カラオケボックスを出た。
時刻は気づけば22時。
「あー、もう声出ません」
「歳だ…」
「今なら正人さんより年上な感じの声だよね…」
ガラッガラな声の20歳二人で、夜の街を歩く。
「家に帰っても何もないしラーメンでも食べて帰る?」
「そうだね」
私も涼香も一人暮らし。
だから家に帰っても温かな料理が待っているわけもなく。
帰り道の途中にあったラーメン屋さんに二人で寄ることにした。
ガラガラ、と引き戸を開けるとそこはおいしそうなにおいが充満した天国だった。
一層おなかの減り具合が激しくなった。
私がとんこつラーメン、涼香はしょうゆラーメンを頼んで待つこと10分弱。
アツアツのラーメンを目前に、がっつかずにはいられなかった。
「んー‼おいし‼」
「カラオケのあとのラーメン、会社帰りのサラリーマンかな」
「正人さんと同じー」
「真央はいいかもしれないけど、私は一緒にしないで」
そんなことを言いながらも、ものの数分で食べきってしまったラーメン。
あー、おなかいっぱい。
これも一種の幸せかもしれない、なんて一瞬だけ思ってしまった。
「さてお会計、の前に。ごめん真央、ちょっとトイレ」
「りょうかい」
涼香がトイレに行き、一人取り残されてしまった私は携帯を取り出す。