正人さんは、私よりも10個も年上の大人。

正人さんはごくごく普通の会社員だけれど、私には本当にもったいないくらいの素敵な彼氏さま。

出会いはといえば、私が短期で入ったバイト先の会社員さんだった。

最初こそ私は、男性の社員さんとの交流はほとんどなかったのだけれど、たまたま休憩時間がかぶり、しかも二人きりになってしまった日があり、さすがに気まずくて「なんでこの仕事してるんですか?」なんていきなり素っ頓狂な質問をしたことがきっかけでちょこちょこ会話をするようになった。

それからはあっという間に、正人さんのことを好きになり、年齢差が10個もあることを忘れ、付き合うことになった。

正人さんもいつのまにか、私に惹かれている自分がいたらしく、両思いがいつからか始まっていて、ついに実ったとき、二人して笑いあった。

それから月に2回ほどデートをしつつ、私の短期のバイトが終わってからは、週に2回は会うようになった。

デートを重ねるたびに、正人さんのことをどんどん好きになり、そして正人さんの優しさにどんどん堕ちていった。

今では自分で言い切れるほど、ぞっこん。

「真央、今日も彼氏?」

「いや、今日は仕事だから会えない」

「じゃぁ、カラオケでも行く?」

「行く!」

学校が終わり、涼香がカラオケに誘ってくれた。

久しぶりの涼香とのカラオケ。

ずっと正人さんばかりと遊んでいたから、涼香との遊びは疎遠になっていた。

「あ、涼!」

「んー?」

「涼も一緒に行く?カラオケ!」

涼香が涼に駆け寄り、肩を組む。

なかなかイケメンな涼香。

「わりぃ、今日バイト」

「あら残念」

グンッと涼を突き放す涼香。

かなりイケメン。