まず、第一に。

私の彼氏、逢坂正人(おうさかまさと)さんは本当に本当に素敵な人であるわけです。

つい先日、デートをした時の事。

私が寝坊してしまい、待ち合わせの12時よりも30分過ぎて合流することになってしまった。

その日は朝から曇り空で、待ち合わせ場所は小さな公園だったから、傘を持っていないとずぶ濡れになってしまう場所。

そして天気はなんと、12時くらいからザーッと降り始めてしまった。

急いで公園に向かったけれど、着いたとき目にしたのは、傘を差さずに木の下に立っている正人さんだった。

「正人さん‼」

「あ、真央」

「あ、じゃないですよ‼えっ、傘は⁉」

「降る前に真央が来るかなって思って待ってたら、降ってきちゃって」

「車で来たんじゃないんですか?」

「来たよ」

「ならどうして‼」

いつも車にビニール傘が乗っていることは知ってる。

なのに、どうして取りに行かなかったの。

「この公園駐車場がないから、近くのパーキングに止めてきたけど、そこに行ってる間に真央がここに来て、俺が見当たらなくて、帰ったかもしれないなんて不安な気持ちにさせたくなくて」

「そんなこと‼」

「真央は寂しがり屋だから、すぐ不安になるだろ?」

優しい笑顔で、微笑みかける正人さんを、それ以上怒ることができなかった。