「郵便屋さん」



「私が郵便屋さんに出会えたことは運命だと思うんです」



本当に一昔前のドラマだな。

この歳になって経験するとは思わなかった。



彼女は、小さな手をギュッと握りしめる。普段は真っ白な肌が、今ではリンゴのように赤い。




「好きです、郵便屋さん」



彼女はついにそれを言った。

何て答えればいい? 返事は、ノーだ。キラリと薬指にはめた銀色の輪が光る。



口を開こうとしたその時だった。


「返事は、いりません。伝えたかっただけなんです。困らせてしまって、ごめんなさい」



やっぱり綺麗な笑顔で笑った。

その笑顔は、今までで一番綺麗な笑顔だった。