郵便屋さんが私のおとうさんになる人だと知った時にはそれはもう驚いた。


無愛想な郵便屋さん。

私は、彼に恋をしていた。


自分で言うのも何だが、私はそれなりに整った顔をしている。けれど、郵便屋さんは興味なさげに淡々と業務をこなしていく。


恩師から聞いた郵便屋さんの話は、慈愛に満ちていて。薬指で輝く銀色の輪を見るときは私に向けることのない笑顔を浮かべていて。

そんな笑顔が好きだった。