そして冬休みの期間に書いた手紙の練習をまとめて確認していく。

章は失敗したものも含めて全部持って来ていたから、ひとつも逃さず受け取った。



会わない間、ちゃんと書いているのか気になっていたけど……意外と真面目な面もある。

割とまめに書いていただけでなく、ただの手紙以外にラブレターも練習していたみたい。



恋文参考書に、はじめの頃みたいに薫先輩に対する気持ちが書きこまれたページが増えていることに気づき、あたしはこっそりと感心する。

以前と比べれば、文章は整っているし読みやすい。

成長が垣間見れたし、手紙の練習が無駄じゃなかったと知ることができただけで万々歳だ。



恋文参考書と、手紙の練習で文字が踊るルーズリーフの束を手に、ゆっくりと読みこむ。

その作業を繰り返している間、あまりにも章が動く気配がないことが気になり顔をそっと向ける。



手持ち無沙汰といったふうに本棚の本を見ている章の、眉間の深いしわ。

見る、というよりは睨みつけると言った方が近い表情に、今まで不思議に思っていた問いを投げかける。



「章ってどうしていつも睨んでいるの?」



なにをしている時も、誰を相手にしても、彼の目つきは今のようなきついものがデフォルトだ。

そんなだからみんなにこわがられているんだし、なんとかならないのかな。