息がつまって、のどに引っかかった。
ひゅうと音がしたあと、はあっと浅く、意識的に息を吐き出す。
あまりにも驚いてしまい呼吸ができなくなることって本当にあるんだなぁ、なんてばかみたいなことを頭のどこかでぼんやりと考える。
他人事のようでありながら、だけどこれはあたしに起きた出来事。本当のこと。
下駄箱にそっと入れられていた呼び出しの手紙。
ちゃんと日生、とあたし……日生 彩(ひなせ あや)宛になっていた。
放課後に教室で待ってるなんて、どんな話があるって言うのか。
しかも、差出人はまさかの金井 章(かねい あきら)。
11月になってもいまだ数えるほどしか言葉を交わしたことの相手だし、普段の彼の様子からしても信じられないのに。
一瞬で体温はあがり、ぎゅうぎゅうと心臓は直接つかまれてしまったかのようにどきどきして。
震える手の中の手紙……メモは力の調整ができなかったせいでよれてしまった。
じっくりと見てみると、『話がある』という文章の下にうまく消せなかった『好き』という文字がかすかに見える。
少し角ばった、綺麗な字は意外にも読みやすく、すとんと心にまで届くよう。
あたしみたいな明るいだけが取り柄の女なんて、ありえない。
センターわけのショートカットもさっぱりしているせいで女の子らしさとはほど遠い。
それなのにもしかして、と期待してしまう。
それはまるで、まるで、────ラブレターのようで。
正直に言おう。
朝から死ぬかと思った。