「章のお友だち?
こんにちは、章の幼馴染の菅沢 薫です」



まぁ姉みたいなものね、と言う薫先輩に慌てて頭を下げる。



「はじめまして! 日生 彩です!」

「彩ちゃん。
章がお世話になってます」



うわ〜、丁寧に頭まで下げられちゃった。

所作のひとつひとつが美しくて、独特の空気をまとっている。



なんかこう、高嶺の花って雰囲気をびしばし感じられるね……!



すごい人だとごくり、つばを飲みこむ。

金井が好きになるのも納得だ。



「章ってば和葉以外の人といるところちっとも見かけないんだもの。
友だちがいないのかなって不安だったんだけど、よかった。彩ちゃんがいて」



ほっと嬉しそうにする薫先輩に、まともに話したのはここ数日からです、なんて言えるはずもなく。

あははと笑っていると金井が「薫は保護者づらやめろって」と文句を口にした。



相手にされていない金井は可哀想だけど、なんだか普段の彼の様子とずいぶん違って、少し面白い。

はいはい、と流されてはヤンキーも形なし(かたなし)だね。



それで、薫先輩と話す金井は憎まれ口を叩きながらも、その表情があまりにも素直で。

怒っているのにこわくなくて、なんだかんだで優しいのかなと思う。



口は悪いけど、でもそのギャップが……うん。

本人に知られたら怒られてしまいそうだけど。



可愛いなぁ、なんて。