真っ白い封筒にあたしの心は乱されて、昨日はあんなふうに逃げ出してしまった。

その勢いのおかげでツンデレヤンキーの章が素直になってくれて……。

無事に想いを通じあうことができた。



そのきっかけがまさかそんな素敵なものだったなんて!



「あたしのために章がちゃんとラブレター書いていたとか! 読みたい!」

「絶対読ませねぇ」

「あたし宛なのに⁈」



はい! と腕をぴんと伸ばし、お行儀よく挙手したあたしに対して、章はそっけない反応だ。

お互いに言えることだけど、昨日はいったいなんだったんだと言いたくなる。

まるですっかり元どおり。



「じゃあせめてなに書いたのか、ちょっとくらい教えてよー」

「うるせぇ」

「照れちゃってもう」



まぁ、いい。

これでこそ章って感じだもんね。

素直すぎる彼も悪くないけど、からかうのだって楽しい。



肩をすくめて、くすりと笑う。

背けた頰に赤い色が乗せられていること、彼は気づいていないんだ。

鈍感なところもいい、なんて思いながらそういえばと章に話そうと思っていた要件を思い出す。



「以前約束したじゃない?
ネタとして、章の恋は使わせてもらうって」

「は?」

「だから原稿持って来たよ。
1番に読んで欲しいと思って、ちゃんと用意したんだ」



レモン色のリュックから原稿を取り出す。

今回は手直しも済んでいるし、以前書き上げたばかりのものを読んだ時とは読みやすさが段違いだろう。

なんといってもまず、ちゃんと綺麗な字で書いてあるからね。