あたしの26日は何事もなく過ぎて行った。
強いて言うなら教室を出て行く章の背中を見送ったくらいで、本当にあっけないほどなにもなかった。
章は無事に薫先輩の元へ行けただろうか。
告白の結果はどうなったのだろうか。
……あたしの手紙は受け取ってくれただろうか。
そうやってぼんやり考えるだけで、確認することはできない。
LINEなんかの連絡手段はとうとう最後まで得ることはなかったし、結果を知ることがこわくなってしまい。
27も28も、章を避けて過ごした。
悶々としたままの土曜日と日曜日を過ごし、3月3日。
卒業式を前日に控えた今日は、卒業式の予行練習の日だ。
ここ最近はがらんとしていた校舎に、久しぶりの3年生の姿。
受験を終えた人が多く、なんだかずいぶんと大人っぽくなったように思う。
明日の卒業式のあとは、文芸部の伝統。
部室の後ろの黒板に3年生が好き勝手書く……まぁ寄せ書きのようなものかなぁ。
そんな行事を見守り、あいさつをする予定だ。
卒業式の予行練習は、当然だけど体育館で行われる。
冬の体育館履き驚くほど底冷えして、室内とは思えないほど寒い。
いくつもの白い息がふわりふわりと空気にとけていく。