それが今じゃほら、こんなにはっきり好きだって。

付き合って欲しいって。

書いてあるのは……胸が痛くなるくらい、丁寧で直接的な言葉だ。



眉を寄せてしまいそうになるのをからかうことで誤魔化していたせい。

章は照れてふてくされてしまった。



ごめんごめん、と肩を叩いても冷ややかな視線と耳の赤い色が落ち着くことはない。



「これでも褒めているんだよ?
以前の章なら考えられなかったじゃない」



それは本人も自覚しているのか、苦々しい表情ではあるけど小さく頷く。

3ヶ月の間に成長した君はもう、あたしの協力なんていらないくらい眩しいね。



「いつ渡すの?」

「2月26日」



やけに細かく決まっているんだなぁ。

そうぼんやりと考えていると、その疑問に答えが返された。



「薫の誕生日なんだ」

「……そっか」



18歳の誕生日。

ずっとそばにいた幼馴染から、プレゼントとともに告白される。

それはどんな気分なんだろう。

薫先輩は、どんなふうに受けとめるんだろう。



考えても意味のないことだとはいえ、無意識に頭に浮かんでしまう。

でもきっと、彼女のことだ。

どんな気持ちを抱えていても、章を傷つけてしまうようなことはないんだろうね。



そう思うと崩れ落ちてしまいそうなほど安心するような、その絶大なる信用に妬けてしまうような、複雑な心境に襲われた。