きらきらと輝いているような、空間であたしたちは身を寄せあってああでもないこうでもないと好き勝手言う。



「ふみはどんなのがいいの?」

「一条くんは甘いもの、あんまり好きじゃないみたいなので。ちょっと苦いものにしようかなぁって考えています」



ふむ。

なるほど、と納得したところで重大な事実にはたと気づく。



「ねぇ、あたし、そもそもあいつが甘いもの食べるのか知らないんだけど」

「ええ……」

「詩乃は知らない?」

「知るわけない」



ですよねー。



どうして確認していないの、などと言われましてもね。

あたし、バレンタインは不参加の予定だったんだもん。

この前のデートではじめて一緒にごはんを食べたくらいだよ?

知るはずがないじゃない。



「まぁ、いいや。
本当にあげるかもわからないし」



ぱしんと無言で詩乃に頭を叩かれる。

やだもうこの人、あたしに対して厳しい。態度が雑い。



今のはあたしが悪いかもしれないけど、でも、それくらいの気持ちでいた方がいいと思ったんだ。

必要以上に傷つくつもりはないもん。

あっけらかんと気楽に、適当にいこうじゃないの。

変に気負い過ぎても失敗してしまいそう。