「お前の書く恋愛、はじめて読んだ」



ぽつり、と落とされた感想にはっとする。

慌てて、ああうん、と頷く。



「ただのコメディの予定だったんだけどね、気づいたらラブコメになってた」



主人公の親友とか、メインに扱っていなくてもいいなら、恋をしているキャラクターは今までにも書いたことがある。

だけどこうしてわりとちゃんと描いたことは、まったくなかった。



とはいえ恋愛要素よりコメディ要素の方が強いし、まだまだだなぁとは思うんだけどね。

でもきっと、章へのこの感情が今回の作品を作ったんだ。



「今後は恋愛ものも書くのか?」

「うん。っていうか、章と薫先輩をモデルにしてするつもりなんだけど」

「それか……」



今さらいやがっても知らないよ。

なんて、そんなことを言って、自分で自分の傷口をえぐる。

もう、あたしのばかさ加減に呆れてしまう。

自虐趣味はないんだけどなぁ。



「まぁさ、もうしばらく先になるだろうし気長に待っててよ」

「……うるせ」



気恥ずかしさを誤魔化すための章の仏頂面に救われる。

ありがとう、君のその、おばかなところはいいところだよ。