「とまぁそんなわけで、しばらく手紙を書く練習に付き合えません! ごめんね!」



手を勢いよくあわせ、隣に座る章に頭を下げた。

冷たい風が頰をかすめる。



文芸部の部誌の締め切りを破ってから、2日目。

昨日は詩乃に章を好きになったという秘密を打ち明けてからずっと原稿の続きをしていたけど、まぁもちろん終わるはずもなく。

今日はなんとか図書室での作業を許してもらったとはいえ、周りに迷惑をかけてしまっているから優先することになったんだ。

そのことをいつもどおり図書室で待っていてくれた章に説明した。



「……別に、いい」



許してもらえたことにほっと唇を緩ませる。

まぁ章のことだし、大丈夫だろうと思っていたけどね。



だからそう、ここまでは予想どおり。

だけど彼は予想外の言葉を吐き出した。



「……なぁ」

「うん? なに?」

「それって俺のせいだろ」



え? と驚きの声がのどの奥からもれる。

俺がラブレターを書く練習を頼んだせいで書けなかったんだ、などと思いこむ彼の姿にどうしようもなく慌てる。



なんだなんだ、どうしてそんな反応してるんだよ。

ざまぁ、とか言っちゃうのが章じゃないの⁈

……あたしもなかなかな反応だけど、これ!